遺言は最悪の相続対策であるとは、私の尊敬する税理士さんが言ってたのです。
素人が遺言書を作ると、法的な問題がでるかもしれないということもありますが(遺留分の侵害とか)、故人の思い入れだけが突っ走って、不公平があると、残された者同士がいがみ合って、一族の人間関係が悪くなったりして、ろくな事がないということであります。
良かれと思って遺言を書いたとしても、結局、故人も恨まれたりして、草葉の陰で泣くハメになるかもしれません。
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遺言が争いのもとになる
考えてみると、遺言って、言いっぱなしですわね。
生前に伝えることができなかったことを、死んだ後なら、素直に聞いてくれるかな、という期待は、裏切られるかもしれないのです。いや、たぶん裏切られます。生きているうちに言う事聞かなかった者が、死んで聞くことがありましょうか。
トラブルの種は、生きている間に解決しておくべきであり、死後に残すというのは、無責任といえるかもしれません。
相続対策は生前に
このブログは、「お金の知識」と謳っておりますので、相続税対策のあれこれを書くべきでしょうが、相続税対策より大切なのが、争族対策なのだ、と、私の税理士さんはいうのです。
少々、財産の分与が多かった、税金を少なくできた、などとチマチマいっているより、一族がガッチリ結束して繁栄し続けることのほうが、遥かに重要です。下手なことをして、分散して滅亡しまったら、ご先祖様にあわせる顔がなくなります。
争族対策は、死んだあとにひょっこり出てくる紙切れに託すのではなく、やはり目の黒いうちに根回ししておかねばならぬのです。
財産を誰にどれだけ引き継がせるのか、跡継ぎたちとよく話し合い、納得させ、相続が発生する前、つまり死ぬ前に、譲渡譲与を済ましておくのが良いです。
この世をおさらばするときには、もうすっかり何もないよ~というのが、理想的でありましょう。何もなければ、急に見知らぬ親戚とか隠し子が現れても、分捕られるものもありません。
生前に譲渡したら、譲与税が~とか、ボンクラ息子を生きているうちに金持ちにしたら、無駄遣いしてすっからかんになってしまう!といった不安には、それはそれで、また別の対策を打つべきではあります。
そこは税理士さんに相談して、裏技をひねり出すとか、生命保険の受取人にしておくとか、一代飛ばして孫に託すとか、いろいろ方法はあることでしょう。
※生前に処理できない部分を遺言書に残すべき場合もあります。ちゃんと内容を知らしめておいて、死後も有効なのだという確認の意味で作成するのが良いと思います。
不動産の生前売買
我が家の場合は、不動産が多少あるので、父親から私と弟が購入したことにして、お代金は分割払いで父に払っていっております。どの不動産が誰のものというのは、もう揉めませんし、不動産取得税は払っておりますから、相続税対策にもなっております。
すっかり払い終わるには年月がかかりますので、長生きしてもらおうという親孝行な気分にもなれます。(債権も相続税の対象になってしまうので…)
相続の計画は長期的に
不慮の事故などでお亡くなりになった場合は対応できないですが、年老いてきたならば、人間誰しもそのうち死んでしまうのですから、いつごろかなあと予測して、じっくり時間をかけて相続の対策はできます。
1年やそこらでは無理です。10年くらいはかけると良いと言う話です。
私の祖母が亡くなったときは、なんの対策もしておらず、同居していた長男夫婦が仕切って独り占めして、他の兄弟達とは縁が切れてしまいました。(相続税が発生するほどの資産でもなかったのに…)
それまで、兄弟姉妹仲良い一族だったのに、残念な話です。
人間、いきなり大金を目の前にすると理性を失います。欲をかいてはいけません。じっくり時間をかけて、ご先祖の作った財産は未来に活かしましょう。
言葉を残す
遺言するならば、財産分与のあれこれを書き残すんじゃなくて、人生の先達として、子孫に伝え残したい言葉などを書いておくのがいいのではないでしょうか。
ちなみに私が好きなのは、一休さんの「心配するな。なんとかなる。」です。