世にいろいろな保険がありますが、国民健康保険など義務付けられているものとは別に、家庭や個人でかける任意の保険といえば、自動車保険や火災保険、そして生命保険でしょう。
このうち、自動車保険や火災保険はわかりやすいです。事故を起こしたら、いくらまで保険金が出ますとか、火事になったらいくら支払いますとか、単純明快です。(請求時の査定は別の話として)
更新も毎年だったり、5年だったりなので、頻繁に見直しもできます。無事故だったので次の更新では保険料が安くなるとか、事故を起こしたから高くなるとかありますけど、できるだけ保険料は安くしたいと考えるのが普通ですね。
自動車保険の場合、対人対物の保険金額の上限は「無制限」というのがありますが、マイカーの破損に対しては、そのときの、その自動車の値打ち、評価額が上限になります。事故ったら新車にしたいからと、余分な保険料を払うことはありません。火災保険でもそうです。火事で焼けたら保険金で豪邸に、ということはありません。
Contents
生命保険の選び方
ところが、生命保険は、なかなか複雑です。
私が社会人になったばかりのときは、勤務先に美しいお姉さまの販売員がやってきて、終身型の積立型の高い保険を勧めてきたものでした。死亡したら5000万円とか1億円とかいうものです。
冷静に考えて、ハタチそこそこの若造が死んだとき、そんなにお金いるか?というかんじです。しかし、自動車や住宅と違い、人間の価値を評価することは難しいです。あなたには一億円の価値がある!と言われれば、そうかなあ、エヘ、という気もするし、地球より重いと言われれば、そりゃごもっともと思えます。
でも、結婚もしていない、一介の新入りの平社員のサラリーマンにとって、一億円の保険は過剰でしょう。高い保険料が給料天引きにされるのなら、そのぶん勉強代とか旅行代とか婚活資金にでもした方が、意義があるように思います。
保険金詐欺の殺人事件をよく聞く時代でした。
時代は変わり、医療保険に重きを置く保険に変わってきました。入院したらいくら、手術したらいくら、ガンだと診断されたらいくら、高度障害状態でいくら、そんなかんじです。
死亡保険金は逆に抑えられてきて、お葬式代くらいでおさえておきましょう、という風潮になりました。家族葬が主流の時代、300万円もあれば、お葬式や遺品整理には十分ですね。
(もちろん、まだ幼い子供が5人もいるなど、家族に残すお金が必要であれば、そういったプランを選ぶと良いです。)
生命保険は、社会保険の不足を補うと考える
医療型の生命保険ですが、実はこれも過剰にかけているケースが多いようです。
だいたい生命保険に入れる人って、基本的に健康ですから、病院にかかったとき、どれだけお金がかかるか、ピンときていないものです。
日本の医療費の制度は、昔からずーっと同じというわけではなく、どんどん見直され、アップデートされております。
医者にかかると、薬代とか診察費の、3割が、患者の負担ですが、あまりに高額になったとき、たとえば手術を受けて1000万円かかったときに、3割の300万円を支払わないといけないのかと言うと、そうではなくて、上限があるのです。
高額療養費制度を利用すれば、自己負担の上限が、70歳未満の、年収400万円くらいの人で8万円ちょいになります。(平成27年)(年齢、年収によって変わります)
いったん3割分を払って、差額が戻ってくるという仕組みですが、いったん支払うというのが大変ということであれば、手続きをして限度額のみの支払いにもできます。
私の妻は難病になりまして、毎日のように輸血などして、もう、診療明細票を見るとどえらいことになっておりましたが、請求額は、あらっ?と思えるほどの、心安らかなものでした。しかも、特定医療の申請もできたので、自己負担の分も、公費負担になりました。
このように、日本の国は、社会保障がものすごく充実しております。
ですので、医療費に関しては、そんなに生命保険を過剰にかけておくこともないといえます。
月々払っている保険料と、受け取ることのできる保険金額というか病院から請求される費用を、みくらべて、本当にお得かどうか考えましょう。
もしかすると、保険料と同じ金額を貯金しておいて、その中から払ったほうが、安上がりという可能性もあります。保険会社を儲けさせてあげるつもりなら、どんどん高額な保険に入れば良いと思いますが。
信頼できる専門家に相談しよう
年齢や家族構成、健康状態、仕事内容や年収、資産その他、ひとりひとり、万一の時に必要となる金額は違っておりますし、社会保険の制度もどんどん変わっていきますので、素人の知識では判断が難しいところもあります。やたらケチ臭くすればいいというものでもありません。
誠実で、信頼できるプロに相談して、頻繁に見直すのが、お得な保険のかけ方と言えましょう。
当然ながら、保険会社の人も商売なので、会社の都合の良いように説明するかもしれません。いいくるまれないように、セカンドオピニオンをつけるのもおすすめです。
個人的意見としては、コロコロ入れ替わる新入りのお姉ちゃんより、生涯担当しまっせ!という、ベテランのおっちゃんのほうが信用できるような気はします。
(とはいえ、担当者が自分より長生きしているとは思えないので、交代する日は来ると思いますが)
いずれにせよ、終身型でほったらかしにしておくと、いつのまにやら時代の流れに合わなくなって、損しているかもしれませんよ。